「太ももの前側が張って、脚が太く見える」
「前ももばかり発達している気がする」
「スクワットをすると、お尻ではなく前ももばかり疲れる」
「歩いたり階段を上ったりすると、すぐに太ももが疲れる」
美脚専門のパーソナルジムでお客様の身体を見ていると、このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。
前ももの張りが気になると、まず前ももをストレッチしたり、フォームローラーでほぐしたりする方が多いと思います。
もちろん、それによって今ある筋肉の緊張を和らげることはできます。
しかし、前ももの張りを改善していくためには、もう一つ考えてほしいことがあります。
「なぜ、そもそも前ももに力が入り続けているのか?」
実は前ももの張りが強い方は、トレーニングをしているときだけではなく、普段立っているだけでも太ももの前側に力が入っていることがあります。
その状態のまま歩いたり、階段を上ったり、スクワットをしたりすれば、当然さらに前ももを使うことになります。
今回は、前ももが張ってしまう原因と、前ももばかり使わない身体を作るための考え方やトレーニングについて解説していきます。
まず確認してほしいのが、何もしていないときの太ももの状態です。
立った状態で、太ももの前側を手で触ってみてください。
力を入れているつもりはないのに、大腿四頭筋、とくに大腿直筋などが硬くなっていないでしょうか。
前ももの張りが気になる方を見ていると、運動中だけではなく、立っている時点ですでに太ももの前側が緊張していることがあります。
本来、立っているときには筋肉だけで身体を支えているわけではありません。
骨格や足裏から受ける床反力なども利用しながら、身体のバランスを取っています。
ところが、身体の位置関係が崩れていると、筋肉を緊張させることで姿勢を維持しようとすることがあります。
たとえば、骨盤が前傾する方向へ傾き、身体が少し後ろから押し出されたような状態になっている。
あるいは、足裏の荷重に偏りがあり、かかと側にうまく体重を乗せられていない。
そのような状態では、前ももの筋肉を緊張させることで身体を支えるようになります。
つまり、前ももの張りを改善するためには、
「前ももをどうやって細くするか」だけではなく、「前ももを頑張らせなくても立てる身体をどう作るか」
を考える必要があります。
では、前もものストレッチやフォームローラーは必要ないのでしょうか。
そんなことはありません。
すでに緊張している筋肉をストレッチしたり、フォームローラーで圧をかけたりすることで、一時的に張りが和らぐことはあります。
寝る前に行えば身体が楽になったり、翌朝に脚がすっきりしたように感じたりする方もいるでしょう。
Destyでも、前ももの緊張が強い方にはフォームローラーを使うことがあります。
ただし、目的は単純に「筋肉を柔らかくすること」だけではありません。
大切なのは、
「今まで前ももにこんなに力が入っていたんだ」
と自分自身で認識できることです。
前ももの張りが強い方の中には、力が入っている状態が当たり前になっていて、そもそも自分が緊張していることに気づいていない方もいます。
フォームローラーなどで一度緊張を和らげると、「力が入っている状態」と「力が抜けている状態」の違いが分かりやすくなります。
これは身体の使い方を変えていくうえで、とても重要な感覚です。
一方で、ストレッチやフォームローラーを行ったあとに、いつもと同じ立ち方や歩き方へ戻れば、再び前ももに負担がかかります。
そのため、
今ある張りを和らげることと、張ってしまう原因を変えること。
この2つを分けて考える必要があります。
前ももの負担を減らすために重要になるのが、太ももの裏側にあるハムストリングスです。
ただし、ここでも注意があります。
「前ももを使いすぎているなら、裏ももを鍛えればいい」
と考えて、ハムストリングスの筋トレだけを増やせばいいわけではありません。
それでは、
「裏ももの筋肉も発達したけれど、相変わらず前ももも張っている」
という状態になる可能性があります。
大切なのは筋肉量を増やすことだけではなく、裏ももを使って身体を支える感覚を身につけることです。
そのためには、筋力トレーニングだけでなく、足裏の感覚や身体のバランスを変えるようなトレーニングも必要になります。
裏ももを使う感覚が分かりにくい方におすすめしているのが、フォームローラーを使った簡単なワークです。
仰向けに寝て、フォームローラーの上にかかとを乗せます。
そこから、かかとでローラーを優しく前後に転がしてみてください。
ポイントは、力いっぱいローラーを動かさないことです。
かかとからローラーへ力を伝えながら、ゆっくり前後へ動かします。
うまくできると、太ももの裏側に力が入る感覚が分かると思います。
これはハムストリングスを限界まで鍛えるトレーニングではありません。
かかとと裏ももがつながって働く感覚を覚えるためのワークとして行ってみてください。
普段、前ももばかり使っている方にとっては、「こんなふうに裏ももを使えるんだ」と感じるきっかけになることがあります。
「スクワットをすると、お尻ではなく前ももばかり疲れます」
という相談もよくあります。
この場合、スクワットのフォームだけを修正しようとする方が多いのですが、Destyではスクワットだけを見て解決しようとは考えません。
そもそも、足裏で床を適切に捉えられていない状態でスクワットをしている可能性があるからです。
また、股関節の使い方も重要です。
脚を動かすときには、腸腰筋なども使いながら太ももを体幹側へ引きつけ、股関節を中心に動かせることが大切です。
その際には、骨盤や体幹の状態も関係します。
腹圧を保ちながら股関節を動かせると、お尻や裏ももが伸び縮みする感覚も得やすくなります。
反対に、体幹が安定せず股関節をうまく使えない状態では、普段から使い慣れている前ももへ負荷が集中することがあります。
だからこそ、
「スクワットではお尻を後ろに引こう」
「膝を出さないようにしよう」
といった意識だけで解決しようとするのではなく、足裏、骨盤、体幹、股関節などを一つずつ見直していくことが重要です。
身体の使い方が変わった結果として、自然にスクワットのしゃがみ方も変わる。
そんなイメージを持ってみてください。
前ももの張りは、普段の歩き方にも表れます。
よく見られるのが、いわゆる「ペタペタ歩き」です。
足裏全体が一度に地面へつくような歩き方で、「ペタペタ」「ドスドス」と足音が大きくなることもあります。
こうした方は、足裏で地面からの情報をうまく受け取り、地面へ力を伝えることが苦手になっている場合があります。
その結果、地面を押した反力を利用して前へ進むというよりも、自分の筋肉で一歩ずつ脚を持ち上げて前へ運ぶような歩き方になりやすくなります。
イメージしやすいのが、階段を上るときです。
一段上へ行くたびに、自分の脚の重さを太ももの筋肉で持ち上げていると、とても疲れます。
平地を歩くときにも、それに近い身体の使い方をしている方がいます。
本来は、地面へ力を伝え、その反力を利用しながら身体を前へ進めていきたいところです。
理想的な歩行では、かかと付近から接地したあと、足裏を転がるように荷重が移動し、身体が前へ進んでいきます。
ただし、
「今日から絶対にかかとから着地しよう」
と意識しすぎるのもおすすめしません。
脚を前へ突き出し、かかとを地面へ強くぶつけるような歩き方になってしまうことがあるからです。
歩き方だけを意識して直すのではなく、足裏や股関節、体幹などを整えた結果として、自然に歩き方が変わっていくことが理想です。
前ももの張りが強い方には、いわゆる「反り腰」に見える姿勢が同時に見られることもあります。
ただし、
「反り腰だから前ももが張る」
と単純に考えるのはおすすめしません。
一口に反り腰といっても、身体の状態は人によって違います。
たとえば、みぞおち周辺や下部肋骨が前へ出ていて、一見すると腰を反っているように見える方でも、必ずしも前ももが張っているとは限りません。
反対に、裏ももに強い疲労感を感じている方もいます。
一方で、腰の下部や仙腸関節周辺を狭めるように力が入り、腰を反る緊張と前ももの緊張が同時に起きている方も比較的多く見られます。
重要なのは、
「反り腰だからこの筋肉を伸ばせばいい」
と姿勢を一つのパターンに当てはめないことです。
身体のどこでバランスを取っているのか。
どの筋肉に力が入り続けているのか。
足裏のどこへ体重が乗っているのか。
こうしたことを一つずつ確認する必要があります。
「脚を細くしたいので、前ももは鍛えない方がいいですか?」
と聞かれることもあります。
これについては、半分正解で、半分間違いだと考えています。
前ももの緊張が非常に強く、普段から力が入り続けているのであれば、さらに高い負荷をかけて限界まで追い込む必要はありません。
しかし、大腿四頭筋そのものは身体にとって必要な筋肉です。
問題なのは「前ももを使うこと」ではなく、
必要のないときまで力が入り続け、うまくコントロールできていないこと
です。
そのため、あえて非常に軽い負荷で前ももを動かすこともあります。
たとえばジムにあるレッグエクステンションをかなり軽い重量に設定して行います。
目的は筋肉を限界まで追い込むことではありません。
膝を伸ばすと前ももが収縮する。
戻すと筋肉が緩みながら伸びる。
この「縮む・伸びる」「力を入れる・抜く」感覚を確認するために行います。
20回行ってもまだ十分余裕があるくらいの負荷でも構いません。
血流を促しながら筋肉を動かす程度で十分です。
前ももがパンパンになるまで追い込んだり、動かなくなるまで頑張ったりする必要はありません。
美脚づくりというと、
「前ももを使わない」
「お尻だけを使う」
「裏ももだけを鍛える」
と考えてしまうことがあります。
しかし、身体はそんなに単純ではありません。
前ももは「使ってはいけない筋肉」ではありません。
必要なときには使える。
そして、必要のないときには力を抜ける。
このコントロールができることの方が重要です。
最後に、自分の前ももの張りが改善しているかを確認してみましょう。
まずは座った状態で、太ももの前側を触ってみてください。
力を抜いているときに、以前より柔らかくなっているでしょうか。
前ももの緊張が強い方は、座っているときでさえ完全に力が抜けていないことがあります。
そのため、まずは、
「前ももの力が抜けて、柔らかくなる瞬間がある」
という状態を作ることが最初の目標です。
次に立った状態でも太ももを触ってみます。
以前は立っているだけで硬くなっていた前ももが、少し柔らかくなっていれば、身体の支え方が変わってきている可能性があります。
さらに、
といった変化も一つの目安になります。
前ももの過剰な緊張が減ることで、張り感が和らぎ、脚のシルエットが以前よりすっきり見える方もいます。
体重や筋肉量だけではなく、普段どのくらい力を入れて立っているのかという視点からも自分の脚を観察してみてください。
前ももの張りが気になると、どうしても、
「前ももをストレッチしよう」
「前ももをフォームローラーでほぐそう」
「前ももを使わないようにしよう」
と考えてしまいます。
もちろん、今ある緊張を和らげることも大切です。
しかし、それだけではなく、
「なぜ前ももに力を入れ続けなければ身体を支えられないのか?」
というところまで考えてみてください。
足裏でどのように床を捉えているのか。
かかとから力を伝えられているのか。
裏ももを使って身体を支えられるのか。
骨盤や体幹を安定させながら股関節を動かせるのか。
そして、歩くときに脚を一歩ずつ筋肉で持ち上げるのではなく、地面から受ける力を利用して身体を前へ進められているのか。
こうした身体全体の使い方が変わってくると、立ち方や歩き方、スクワットなどの動作も少しずつ変わっていきます。
Destyでは、美脚を作るために単純に脚の筋肉を鍛えるだけではなく、立ち方や歩き方、足裏の感覚、骨盤や体幹の使い方なども確認しています。
美脚づくりは「どこの筋肉を鍛えるか」だけではなく、「普段どのように身体を使っているか」を変えていくことが大切です。
前ももの張りが気になる方は、まず座っているときや立っているときに自分の太ももを触ってみてください。
もしかすると、今まで気づいていなかった「力の入りっぱなし」に気づけるかもしれません。
そこから、前ももを頑張らせなくても自然に立ち、歩ける身体を少しずつ作っていきましょう。
Destyでは、姿勢・歩き方・身体の使い方をテーマに、毎週土曜20時からオンラインレッスンを開催しています。
「記事を読んで、実際に身体を動かしてみたい」「店舗には通えないけれど、Destyのレッスンを受けてみたい」という方は、ご自宅からご参加いただけます。

美脚づくりは、トレーニングの時間だけでなく、毎日の立ち方や歩き方も大切です。Destyでは、日常の足元から身体づくりをサポートするインソールをご用意しています。